きりたんのマイラー旅ブログ

旅行記などの記事を中心に、マイレージ、ホテル、ラウンジ情報など

EUフライト遅延補償金の請求(EU261法)〜請求編〜

ヨーロッパ便のフライトの遅延・キャンセル・オーバーブッキング

f:id:kiritanpotan:20181014093116p:plainf:id:kiritanpotan:20181014093210p:plain

フライトの遅延、キャンセル、オーバーブッキングによりひどい目にあった人もいるかと思います。自己防衛のためには、クレジットカードのゴールドカード・プラチナカード等に付帯の旅行保険に航空便遅延補償があります。しかし、今回はその補償ではなく、ヨーロッパ発着便に限った全ての人が対象の話です。まずは、法令関係の規則について見ていきましょう。

EU規則261/2004(EU261法)

EUでは、法律により「旅客の権利」が認められており、補償の内容についても規定が明文化されています。駐日EU欧州連合代表部の公式サイトにも詳しい記述がありました。

eumag.jp

「旅客の権利(Passenger Rights)」とは、市民が交通手段の利用において搭乗拒否、欠航、大幅な遅延などのトラブルに遭遇した際、運賃の払い戻しや食事、金銭的補償などを受ける権利のことを指します。

補償内容と条件

補償されるための条件

・EUの都市を出発する便は、全ての便

・EUの都市に到着する便は、EU加盟の航空会社便(ANAやJALは不可)

・決まった時刻に空港で搭乗手続きを行った場合

・遅延、キャンセルの理由が航空会社の責任の場合(悪天候やストなどは不可)

※他にも細かい規定はあります。詳細は以下のルフトハンザのページにもあります

https://www.lufthansa.com/cmn/ja/passenger-rights

補償内容

f:id:kiritanpotan:20181014105423p:plain・フライト距離、遅延した時間により金銭補償がもらえます

250ユーロ・・・1500km以下(2時間以上遅延)

400ユーロ・・・1501km〜3500kmまで・EU内は1501km以上(3時間以上遅延)

600ユーロ・・・3501km以上(4時間以上遅延)

なお、フライトキャンセルやオーバーブッキングの場合もこの基準に準じるようです。

それから、これはチケットの代金にかかわらず補償される(厳密には無償の航空券は不可のようです、特典航空券は可)ため、LCCで格安チケットを取っていた場合などでは、補償額がチケット代を大幅に上回る場合もあるようです。

f:id:kiritanpotan:20181014103937p:plain

http://www.jterc.or.jp/kenkyusyo/product/tpsr/bn/pdf/no55-shokai.pdf

 

請求する方法は?

フライトが遅延・キャンセル・オーバーブッキングした場合、空港でミールクーポンを配ったりゲートでドリンクや軽食を渡すなどの補償はありますが、この規定に基づく金銭補償を航空会社が積極的に乗客に対して行うことはありません。航空会社からすれば、できるだけ乗客には知らないでおいてもらって(忘れてもらって)時効(時効は4年のようです)を迎えたいというところでしょう。権利は主張しなければ無いも同じ、心当たりのある人はドンドン積極的に請求しましょう。この後述べますが、簡単に調べられてコストも掛かりません。

航空会社に直接請求

大体の場合、公式サイトにひっそりとこの規定に基づく補償請求の専用ページを設置しているようです。しかし、個人が請求したところで航空会社は自分の都合の良いように法的な解釈をして、できるだけ補償額を減らしたいと思うのは当然だというのが私の考えです。しかも、航空会社にも法律関係に詳しい専門の部署もあるでしょうから、プロが相手になるわけです。

満額の補償をすぐにしてくれれば問題ないのですが、そうでない場合もあるようです。

法律事務所を活用

法律に基づく補償は、専門の法律事務所にお願いをするのが楽ですし、ノウハウも多く、場合によっては訴訟手続も行ってくれますので、個人では難しい交渉も全ておまかせできます。ただし、手数料は成功報酬で補償額の25%発生しますので、手元に入る金額は減ります。手数料が発生したとしても、申請すれば後は専門家が全てやってくれるので安心だし楽です。

 

私は、2018年の正月、アテネからの帰国便利用の際に発生した遅延の補償を法律事務所を使って請求してみました。(ただし、この便の遅延についてはフランクフルトでの天候不良が原因とアナウンスされていたため、補償されるかどうかはわかりません)
www.kiritan-travel.com

航空便遅延補償を専門に行っている法律事務所

https://www.flightright.com/

https://www.refund.me/

https://www.airhelp.com/en/

https://www.claimflights.com/delayed-flight-compensation-service

法律事務所経由で請求してみた

今回活用してみたのは、flightright.comです。自分が搭乗するはずの飛行機が遅延やキャンセルした場合、補償を求められる可能性があるかどうかを簡単に調べることもできます。とりあえず、日付と便名を入れて可能性を探るだけは無料なので調べてみましょう。補償が求められる「可能性あり」という表示が出れば、そのまま必要事項を入力すれば補償を求める手続きに進めます。

f:id:kiritanpotan:20181014115131p:plain

https://www.flightright.com/

請求の流れ

個人情報、フライト予約番号などを入力し、それでOKであればマウスなどを使って画面上に署名をして提出することで正式な依頼手続完了、着手という流れで至って簡単でした。

 

・2018/9/1申請→約1週間ほどで以下のようなメッセージが表示されました。通常であれば1〜2週間程度で補償金が支払われるという流れのようですが・・・

f:id:kiritanpotan:20181014120022p:plain

支払い拒否の通知

「航空会社は支払いを拒否しましたが、flightright.comは航空会社の主張と顧客の権利が合致しているかを確かめることを目的としています。弊社の法律家が航空会社への訴訟の見込みを探っています。これによるコストは一切発生しませんが、数週間から数ヶ月掛かる可能性があります。いずれにしろ、結果は報告します。」

 天候が理由で到着便遅延が発生したことによる出発の遅延なので、そこがポイントかなぁと思っています(悪天候理由の場合は航空会社の免責になります)。半ばあきらめてはいますが、今後のため経験として申請してみました。

 

おそらく、これを自分だけでルフトハンザに申請していれば、支払い拒否で一蹴され、その後手の打ちようもなかったと思いますが、こういう請求ばかりを請け負っている法律事務所なので、様々なノウハウがあるのでしょう。場合によっては数ヶ月後に決着が付いたケースもあるようなので、あまり期待せずに結果を待つことにします。いずれにしろ、法的根拠と照らし合わせて納得のいく落とし所を探ってくれると期待しています。

現在で約1ヶ月半経過、動きがあれば、またブログにて報告をいたします。

To be continued...